5月27日、モロッコの都市カサブランカで、失業などの問題に抗議する数万人規模の反政府デモが行なわれた。デモを組織したのは貿易組合で、アブデリラフ・ベンキラネ首相率いる現政権が社会正義を実現できずにいることに抗議してのものだった。

 野党で社会主義者のハッサン・タリク議員は「モロッコの抱える社会問題を検討する真の対話の開始を求めて5万人超がデモを行なった」「貿易組合は一体化しておりベンキラネ政権へのメッセージは明確だ。それは、首相は戦略を変えねばならないというものだ」(ミドル・イースト・オンライン 5月28日)と述べ、社会正義の実現を謳ったベンキラネ政権が期待に応えていないことを批判した。

 世界銀行が今月まとめた報告書は、モロッコの人口3200万の約30%に達する多くの若者は成長の機関車役になれるものの多くの課題に直面していると指摘した。貿易組合の指導者たちは、15歳から29歳の若者のほぼ半数が失業しているか学校にも行けないでいる状況の中、給与や社会的条件の改善を求めて政府に対話を求め続けて来た経緯がある。今回のデモには昨年の反政府デモを指揮した「2月20日運動」(通称M20)の若者も多数参加していた。

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