「ブランドの帝王」ベルギー国籍申請の怪しさ
2012年9月21日
「ルイ・ヴィトン」と言えば「4割の家庭が持っている」との俗説があるほど日本で人気のブランドだ(我が家にはありませんが)。セリーヌやジバンシィ、香水のゲラン、シャンパーニュのドン・ペリニヨンなどとともに、高級ブランド世界最大手のグループ「LVMH」(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン)の傘下にあると知る人も多いだろう。
グループを率いるのは、フランス人実業家ベルナール・アルノー氏である。米フォーブス誌によると資産額410億ドルで、欧州随一、世界で4番目の富豪と位置づけられる彼が今、母国でスキャンダルの渦中にある。
エレガントな振る舞いと冷酷な経営判断から「カシミヤを着た狼」と呼ばれるアルノー氏は、LVMHというブランド帝国を一代で築いた経営の天才だと、しばしば信じられてきた。実際には、彼はLVMHの創業者でも何でもない。仏エリート養成校の理工科学校(エコール・ポリテクニック)を卒業し、家業である仏北部の建設会社を継いだ彼は、老舗ブランドながら傾きかけていたクリスチャン・ディオールを買収し、ブランドの世界にかかわった。続いて、当時内紛に陥っていたLVMHの経営陣に近づき、提携と見せかけて買収を図り、成功した。有り体に言えば、乗っ取ったのである。
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