軍制服組の政治局員が2人から3人へ増員

執筆者:野嶋剛2012年10月3日

 複数の関係筋によると、習近平・政治局常務委員(国家副主席)率いる中国の次期指導部である党政治局に人民解放軍から制服組3人が入る方向が固まった。11月8日に開幕する第18回党大会(18大)の閉幕翌日に開く第18期中央委員会第一回全体会議(一中全会)で、正式決定する。

 最高統帥機関である党中央軍事委員会の首脳人事を巡っては既に、軍令を担当する筆頭格の副主席に常万全・総装備部部長、軍政を担う副主席には許其亮・空軍司令官という2人の党中央軍事委委員が昇格し、慣例に従い、両副主席とも政治局入りするとみられている。新たに政治局入りするのは、国防相である。

 かつて国防相は「軍の財政事務を担い、国務院(中央政府)と交渉する窓口にすぎない。実質的に一線を退いた老人にあてがう名誉職」と揶揄された。だが、現在の梁光烈・国防相(2008年就任、71歳・年齢は今年7月1日時点)から、以前は軍政担当の党中央軍事委副主席が主管していた軍事外交が国防相に移管された。加えて梁は、1992年秋に失脚した楊白冰・元軍総政治部主任が兼務し、楊以降、肩書きそのものが廃止された党中央軍事委秘書長の職務も実質的に担っているそう。同委秘書長は、党中央や国務院における弁公庁主任にあたり、日常業務を差配する要のポジションだ。

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