武富士にはソフトバンクが食指

執筆者:2005年2月号

 ソフトバンクグループで投資事業を手がけるソフトバンク・ファイナンスが、盗聴事件で瀕死の状態にある武富士の買収を画策している模様だ。 貸金業規制法は禁固以上の刑が確定した人物が実質的に二五%超の株式を保有することを禁じているため、武富士は発行済み株式の約三〇%を信託に回したほか、六%相当を市場で売却。逮捕された武井保雄前会長ら創業者一族の持ち株比率を二四・八%まで下げ、貸金業の登録取り消しはなんとか回避した。 だが、「一連の株式売却で浮動株が増え、TOB(株式公開買い付け)の可能性が高まった」(外資系証券大手幹部)。そこに孫正義ソフトバンク社長の右腕である北尾吉孝氏が着目したわけだ。 北尾氏が社長を務めるソフトバンク・ファイナンスは、先にドイツ証券と組んでインターネット決済ができる消費者金融会社「イコール・クレジット」を設立するなど、消費者金融分野への布石を着々と打ち始めている。あるソフトバンク関係者は、武富士買収は「規模拡大やノウハウの取得が目的」だと解説する。 武富士が信託した株式のうち、約二割は米系のヘッジファンドへの売却が決まっているとされ、ヘッジファンドが空売りなどに走れば武富士株は一気に下落する可能性が高い。北尾氏はそうした局面でのTOBを狙っているようだ。武富士は買収の憂き目を見る前に、株価対策が早急の課題となる。

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