「沖縄地位未定論」と中国の真の意図
2013年5月28日
中国の人民日報が5月8日に社会科学院の研究者による「馬関条約(下関条約)と釣魚島問題を論ず」と題した論文を掲載した。日本では「中国が沖縄の領有権まで主張し始めた」という風に受け止められがちだったが、この論文の背後にある中国政府の真の意図を読み取るとすれば「沖縄の地位(帰属)は未定である」という問題提起だと考えるべきだ。これは、1951年のサンフランシスコ講和条約で固まった米国中心の国際秩序へのチャレンジであり、尖閣諸島問題も絡めつつ沖縄を足場とする日米同盟を揺さぶろうとしているのである。
カイロ宣言とポツダム宣言
今回の論文を読む限り、一部の報道にあったように「沖縄にも中国の領有権が及ぶと示唆した」という解釈はミスリードのように思える。論文は、琉球王国はかつて中国の朝貢国だったが無理やり日本に併合されたと書いているだけである。仮に朝貢国=事実上の属国だったというだけで領有権が中国にあることになれば、朝鮮もベトナムも、歴史的に中国に朝貢していた時期があった日本も、その対象に含まれてしまう。中国人はそこまで大胆でも荒唐無稽でもない。
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