今年の経済政策を読む「二つのポイント」

執筆者:関根栄一2005年2月号

 十二月上旬、北京で中央経済工作会議が開催された。党中央委員会と国務院が主催するこの会議は、翌年のマクロ経済運営の基本方針を定めるものだ。ここで打ち出された内容が、年が変わって三月の全国人民代表大会で正式に承認される。 二〇〇五年の基本方針で特筆すべきは、「資源配分における市場の基礎的役割を重視」するとしていることだろう。過去数年の趨勢も考えあわせると、今年は二つのポイントでマクロ経済政策の大きな転換点になる可能性が高い。(1)「銀行が地域開発で主要な役割を果たす時代へ」――一九九八年以降、内需拡大を狙った積極財政が続いてきたが、昨年からは軌道修正の気配も出始めた。〇三年に年間千四百億元(一元=一三円)だった長期建設国債の発行額は〇四年に千百億元へ削減され、〇五年はさらに八百億元にまで縮小される見通しだ。特に先の中央経済工作会議で「穏健な財政」(積極財政と財政引き締めの中間)が明示されたことは見逃せない。 積極財政見直しは、これまで国債資金の補完的存在にすぎなかった銀行の融資資金が、主要な役割を担い始めるという点で重要である。胡錦濤政権は高速道路建設などの基礎インフラ整備から、教育・医療・公衆衛生・貧困対策のようなソフト事業に経済政策の軸足を移している。とはいえ、中央経済工作会議で内陸部と沿海部に挟まれた山西省、河南省、湖北省など「中部地区」の開発が新たに唱えられたことからわかるように、大規模プロジェクトのための巨額資金調達自体は今後も必要だろう。銀行がきちんと機能することができるかどうか、政府の舵取りが注目される。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。