「6・30」デモで再燃したエジプトの革命

執筆者:池内恵2013年7月3日

 エジプトの反体制派が組織した6月30日のデモは、狙い通り、あるいはそれ以上の規模に拡大して、一気に政局を流動化させた。カイロのタハリール広場近辺だけでも50万人以上、エジプト全土では少なくとも100万人の動員を行って、ムルスィー大統領を追い詰めている。エジプト軍筋からは全土で「1400万人」が参加したなどという数字すら出されるほどであり(これは誇張か誤報ではないかと思うが)、ムバーラク前大統領を退陣に追い込んだ2011年の2月の大規模デモと同様、あるいはそれ以上の規模である。

 今回のデモの音頭を取ったのは、若者中心の革命派による「反乱(Tamarrod-Rebel)」という運動だ。4月に立ちあがったこの運動は、反ムルスィー大統領の署名をデモ前日までに2200万人分も集めたとされ、分裂しがちな野党勢力と広範な一般民衆を反ムルスィー大統領・反ムスリム同胞団で結集させた。昨年6月30日に就任したムルスィー大統領の在位1周年の記念日を、早くからデモ決行の日と設定して周到に準備した結果である。

二つの「最後通牒」

 デモは今も勢力を保っており、7月2日の夕方(日本時間では3日未明)に再度大規模な集結を図っている。この2日午後5時までのムルスィー大統領の辞任を要求し、辞任がなされない場合は大統領府に突入しかねない勢いだ。大統領府近辺のモスク(Rabia el-Adawiya Mosque)に陣取るムスリム同胞団支持者の集団との衝突も危惧される。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。