民主党の小沢一郎副代表の党内における影響力に翳りが出始めている。公的年金一元化を含む社会保障全般の見直しを検討する与野党協議について、岡田克也代表ら執行部は条件付きで応じることにした。小沢氏は「待った」をかけたが、岡田氏は全く意に介さない様子だ。 小沢氏は三月三日、福岡市内で「漠然とそんな話に乗るのは(政府・与党の)思うツボだ」と与野党協議に反対の立場を表明。「年金問題で与野党対立を続け、次期総選挙まで争点として残しておくべき」(小沢氏周辺)との、党利党略だけを考えた判断からだった。岡田、小沢両氏は昨年、安全保障政策などをめぐり対立。同年八月の党代表選で小沢氏が岡田降ろしを画策した経緯もあるだけに、党内には「対立再燃か」(幹部)と緊張が走った。 しかし、岡田氏は余裕の表情で「幹事長が事前に小沢氏にお伺いをたてている」と周囲に漏らしていたという。それもそのはず、三月一日の常任幹事会でも協議に応じることは了承されているのだ。小沢氏はそのメンバーであるにもかかわらず、これまでほとんど出席せず、一日も欠席していたから、文句を付けられる立場ではない。 岡田氏は、無役だった小沢氏を選対本部長など何らかの役職に就かせることに躍起となり、結局、昨年十一月に常任幹事会メンバーである副代表に据えた。手続きを重視する民主党にあって「会議に出ないで批判するのは御法度」(幹部)というのが常識になりつつある。小沢氏周辺からは、岡田体制のもとでの役職は「百害あって一利なし」という恨み節が聞こえる。

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