「イランはどこだ」

執筆者:名越健郎2005年4月号

 2月のブッシュ米大統領の欧州歴訪で、焦点の一つがイランの核問題だった。イラクのフセイン政権解体で、「悪の枢軸」の一角が崩れ、次はイランと北朝鮮へのブッシュ政権の対応が焦点となる。英独仏の欧州連合(EU)3国は核放棄に向けてイランと外交交渉を行なっており、強硬姿勢の米国とは温度差がある。 大統領は訪欧中、「米国がイランへの攻撃を計画しているとの憶測はばかげている」と攻撃を否定した。しかし、「あらゆる選択肢を排除しない」とも付け加えており、緊張が高まる可能性もある。 ブッシュ大統領が「米国がイランへの攻撃を計画しているとの憶測はばかげている」と話すのを聞いて、欧州首脳がつぶやいた。「イラクの時も、計画がないまま攻撃した」 ライス米国務長官がイランに核計画の放棄を要求した。「早急に放棄しなければ、ブッシュ大統領が執務室の地図でイランを見つけるかもしれない」 イランとEUの外交交渉が進展しているのを見て、妥協を嫌うライス長官が本音を漏らした。「イランが『悪の枢軸』から転落する事態を憂慮している」 イラクには結局、大量破壊兵器はなかったことが確認され、報告を受けたブッシュ大統領が言った。「分かった。サダム・フセインを元の穴倉に戻そう」

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