欧州版の全地球測位システム(GPS)、「ガリレオ」計画が欧州先端企業の総力を結集してスタートする。最後まで競い合っていた二つの企業連合が六月下旬、統合して一つの強力なグループとして計画を進めることが決まった。統合を促したのは欧州連合(EU)欧州委員会と欧州宇宙機関(ESA)。複数の計画が重複して走り出すとコストがかさみ、使える技術にも制約が生じるなど不利なためだ。 ガリレオ計画は高度約二万三千六百キロの地球を周回する軌道上に人工衛星を三十基乗せ、地上付近の物体の位置を正確に測定する。衛星同士でデータを補完しあい、常時、地球のどこにある物体でも追跡できるようにする。代表的な応用例は自動車のカーナビゲーションや航空機の航路システム。最初の衛星は年内、二基目を来年に打ち上げ、二〇〇八―一〇年に残りを軌道に乗せる。〇八年に試験運用を開始、一〇年に本格的利用が可能になる。衛星の開発、打ち上げから維持管理まで含めた費用は一兆円近い見通しだ。 米GPSは軍事用に開発されたが、ガリレオは最初から民生利用を想定。米システムは安全保障上の理由で当初、精度の粗いデータだけしか公開しなかったが、途中で制限を緩和した。

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