石油開発業界最大手の国際石油開発と三位の帝国石油が経営統合を決め、世界で中堅規模の石油開発会社が誕生することになった。統合会社が権益を有する原油・天然ガスの合計確認埋蔵量は、今年、中国海洋石油(CNOOC)による買収攻勢で話題になった米ユノカルを上回る。石油開発の強化を狙う経済産業省の狙い通りのシナリオだ。 だが、新会社の動きを虎視眈々とみつめる石油会社がある。帝国石油の筆頭株主である新日本石油だ。新日石は当初、国際石開による帝石“略奪”に強い不満を表明、一部には来年一月末の帝石の株主総会で統合反対に回るとの見方もあった。 ところが、ここにきて戦略を転換。統合新会社との関係を強化し、いずれ新日石主導で吸収合併を果たそうという「熟柿作戦」を狙っているという。国際石開は政府が「黄金株」を持っており、「石油安定供給に甚大な影響が出る懸念が生じた」時などに買収を阻止できる。ただ、新日石など日本の石油会社による買収は「差し止め条件にあたらない」との見方が有力。 新日石、国際石開、帝石の三社が統合すれば、豊富な原油・ガス埋蔵量に加え、大きな精製・石化能力、販売能力を持った強力な石油会社となるのは確実。新日石の決断次第で日本のエネルギー業界の地図は大きく変貌することになる。

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