有識者たちよりむしろ金融当局の責任が大きい(麻生太郎・財務兼金融相)(C)=時事
有識者たちよりむしろ金融当局の責任が大きい(麻生太郎・財務兼金融相)(C)=時事

 12月13日、霞が関の財務省4階にある会議室のテーブルを、日本の金融業界の先行きを左右するキーマンたちが取り囲んでいた。「金融・資本市場活性化有識者会合」。金融分野の成長戦略をまとめる目的で、金融庁と財務省が設置したものだ。メンバーは大物ぞろい。伊藤隆敏・東京大学大学院教授を座長役に、日本投資顧問業協会の岩間陽一郎会長、三井住友フィナンシャルグループの奥正之会長、三菱商事の小島順彦会長、日本取引所グループの斉藤惇最高経営責任者(CEO)らが名を連ねた 。この日は、提言を麻生太郎副総理兼財務相兼金融担当相に手渡す日で、金融庁から畑中龍太郎長官、財務省から木下康司事務次官、日本銀行から田中洋樹理事らが同席していた。

 

「年末まで時間がない」

「2020年の姿を想定した上で、それまでの7年間で取り組むべき施策を取りまとめている」

 提言は、そう大見得を切っている。日本の金融の近未来像を示し、「国際金融センターとしての地域を確立する」ための施策を提言している、と言いたいのだろう。だが、22ページに及ぶ提言の全文を読んでも、この提言が目指す金融の未来像はまったく見えて来ない。空虚な言葉の羅列で、具体的な政策はすでに政府が取り組むことを決めているものがほとんど。目新しい政策は皆無なのだ。

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