2014年の「日米中3国関係」をアメリカから見る

執筆者:武内宏樹2014年1月1日
 2013年6月7日、米カリフォルニア州パームスプリングズ近郊の保養施設で、会談するオバマ米大統領(左端)と中国の習近平国家主席(右端)(C)AFP=時事
2013年6月7日、米カリフォルニア州パームスプリングズ近郊の保養施設で、会談するオバマ米大統領(左端)と中国の習近平国家主席(右端)(C)AFP=時事

「中国は(米国にとって)脅威ですか」(Is China a threat?)。中国政治を専門にしていると言うと、必ずといっていいほどこういう質問が出てくる。「日本は(米国にとって)なぜ大事なんですか」(Why is Japan important?)。筆者が日本人で日本政治も研究していると知ると次に来るのはこの質問である。米国に来て18年、日本から来た中国研究者としては向き合わなければならない問いであるが、振り返ってみると、こうした問いに答えることによって筆者自身の国際政治を見る眼が開かれ、磨かれてきたのも事実である。本稿では、新春にあたって、2014年の日米中関係をテキサス州ダラスから考えてみたい。年末の安倍晋三首相の靖国神社参拝について、米国政府は間髪を入れずに「失望」の念を表明したが、本稿はこの問題を理解するためのヒントにもなりえるかもしれない。

 

内憂に悩まされる中国

 米国では「中国脅威論」が喧しいが、では逆に、中国にとっての脅威とは何なのだろうか。米国、日本、ロシアなどが考えられようが、筆者は中国にとっての最大の脅威は中国自身だと考えている。中国が最も脅威に感じているのは、圧倒的な軍事力を誇る米国でも、歴史的に摩擦と対立に彩られた日本でも、長い国境線を抱えるロシアでもなく、国民の間にくすぶる国家・社会への不満なのである。

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