中国の軍が情報通信機器の管理を強化している。携帯電話での通話やメールのやりとりが軍内に広がり、情報や機密の漏洩が相次いでいるためだ。党中央軍事委員会は師団級以上の機関への携帯電話持ちこみ厳禁を通達した。「瀋陽軍区の某機関は、四十数万元を投じてすべての会議室や機密に関わる場所に、携帯電話の信号を内外から遮断するシールドと干渉器を整えた」。昨年十二月以降、軍機関紙『解放軍報』は携帯電話利用に以前に増して警鐘を鳴らしている。「特殊技能があれば、携帯電話内のデータを引き出せる。しかも携帯電話は常時、基地局に位置信号を送っており、某国のスパイ衛星がキャッチしている」と、某国=米国の電子監視網を強調。シールドや干渉装置設置は全軍に拡大し、勤務中は携帯電話をバッテリーを抜いてケースに保管しなければならなくなった。無線LANも禁止された。 軍の内務条例は作戦・情報・機密・通信などの部署への移動通信装置持ちこみを禁じているが、無視されてきた。二〇〇三年の黄海での潜水艦事故は、死んだ乗組員の関係者が送ったメールから発覚したし、昨年、乏しい年金に抗議して軍総政治部に押しかけた引退老幹部は、携帯電話で現役幹部と連絡していた。軍中央が危機感を抱くわけだ。

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