金融業界で日本株専門家の争奪戦が繰り広げられている。人気アナリスト調査のストラテジスト部門で四年連続で首位を守ってきた三菱UFJ証券の北野一チーフストラテジストが、一月一日付でJPモルガン証券に電撃移籍。日本人ストラテジストが不在だったJPモルガンが、「好条件を示して口説き落とした」との見方がもっぱらだ。 ドイツ証券の下出衛チーフストラテジストも同日付でりそな銀行に移り、総合資金部で日本株の運用戦略を策定することになった。外資系証券から国内銀行への移籍は異例。ドイツ証券には日本株分析で著名な武者陵司副会長がいるが、「相場見通しで強気に転じた武者氏と、今の株価は高すぎると主張していた下出氏の路線対立が伏線になった」とも囁かれる。 昨年の日経平均の上昇率が約四割と米欧市場を大きく上回るなか、内外の証券や投資顧問から国内銀行、保険会社に至るまで、日本株部門の強化が緊急課題として浮上。ある国内証券のストラテジストは「昨年末以来、ヘッドハンターから頻繁に連絡がある」と明かす。 特に外国人投資家からの資金流入で運用残高が膨れあがった外資系の投資顧問では人不足が深刻。「バブル期以降の業界の縮小路線が災いして有力な人材がなかなか見つからない」(外資系投資顧問幹部)という。

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