中国の自動車産業で、外資系との資本関係のない民族系自動車メーカーの躍進が目立ってきた。四月の乗用車販売実績では、安徽省に本拠を置く奇瑞汽車が三万二千台を売り、初めて第三位に食い込んだ。第一位は米ゼネラル・モーターズ(GM)と上海汽車の合弁の上海通用で四万三百台、二位は独フォルクスワーゲンと第一汽車との合弁の一汽大衆の三万三千七百台。 奇瑞汽車は前年同月比ほぼ倍増で、伸び率は業界トップ。コンパクトカーの「QQ」が一万三千台、セダンの「新旗雲」が一万一千台と月間販売台数では過去最高になったほか、セダンの「新東方之子」も二千二百台と売れ行きを伸ばした。 奇瑞のライバルでもある同じ純民族系の吉利汽車(本社・浙江省)も前年同月比三〇%増と好調を維持している。中国では四月に小型車に対する減税が実施され、「買い控えムードが一気に払拭された」(日系メーカー関係者)ことから、各社とも販売は好調だったが、奇瑞、吉利の健闘は際だっている。一方、かつて「サンタナ」で中国自動車市場の圧倒的シェアトップだったフォルクスワーゲンと上海汽車の合弁、上海大衆汽車は売り上げ台数が四位に落ち込んだ。 純民族系の好調の裏にあるのは、独自技術や品質の向上。外資からの技術移転、指導で、何とかそれなりのモノづくりができていた外資との合弁組と違って、奇瑞など純民族系は外資に依存することなく、自社で地道に技術を磨いてきたことが花開いている。

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