韓国で6月4日に行われた統一地方選挙は、朴槿恵(パク・クネ)政権への「中間評価」であり、4月に起きた旅客船「セウォル号」沈没事故への政府対応を審判する選挙として注目された。朴槿恵政権に厳しい結果になるのではという見方が強かったが、ソウルなど主要8都市と9道の計17カ所の首長選挙のうち、与党のセヌリ党が京畿道、仁川市、釜山市など8カ所で、野党の新政治民主連合がソウル市や忠清道地域など9カ所で勝利した。2010年の統一地方選挙では与党9勝、野党8勝であったが、今回も「引き分け」という結果だった。

 

当初は与党優勢の情勢

 6月4日、韓国・ソウルの投票所で統一地方選の投票を行う朴槿恵大統領 (C)EPA=時事
6月4日、韓国・ソウルの投票所で統一地方選の投票を行う朴槿恵大統領 (C)EPA=時事

 今年初め、2012年の大統領選で一時は「無所属ブーム」を引き起こした安哲秀(アン・チョルス)氏に再び有権者の期待が集まっていた。安哲秀氏は今年に入り、新党結成の動きを加速化させ、新党の名称を「新政治連合」と決め、2月17日には結党準備委員会を開いた。このころに韓国ギャラップが行った政党支持率調査では、与党・セヌリ党が40%、野党・民主党が15%、安氏が結成を予定していた新党が18%と、安哲秀新党は最大野党、民主党を上回る人気となっていた。組織力を誇る民主党には支持は集まらず、支持が集まる新党には組織力がなかった。その結果、民主党の金ハンギル代表と安哲秀議員は3月2日、電撃的にソウルで記者会見し、両党合同を宣言した。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。