株主総会前に再建の柱の一つであるフィンランドのノキアとの携帯電話事業の合弁会社設立が破談になり、再建計画への不信感が強まった三洋電機。同社は白物家電で中国・海爾集団(ハイアール)との、テレビ事業では台湾の広達電脳(クオンタ)グループとの提携戦略で危機を乗り切る考えだ。だが、「いずれの話も、再建がうまく進んでいるように見せかけるために、生煮えで発表したのではないか」(大手証券アナリスト)との疑念の声がやまない。 特に懸念されているのが薄型テレビ事業で合弁会社設立を計画しているクオンタとの交渉の進展だ。三洋は出遅れた薄型テレビを強化するため、クオンタの液晶パネル子会社(広輝電子)と組んで、クオンタグループから液晶パネルを調達、三洋のテレビ作りのノウハウを組み合わせて攻勢をかけたい考えだ。しかし、三洋、クオンタともに「合弁で設立する新会社は連結対象から外したい」(三洋関係者)との思惑がある。三洋は連結から外すことで資産の圧縮を進めたい。一方、同じ台湾の液晶パネル大手、友達光電(AUO)の傘下に入る広輝電子は、「パネルの安定供給先として大事にしたいが、後発で競争力が劣る三洋とはほどほどの距離を置きたい」(クオンタ幹部)という。

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