V字回復後、激しい販売落ち込みに見舞われた日産に、降って湧いたGMとの提携話。トヨタやホンダはどうやら“大歓迎”の様子――。 ひとたび動き出すと止まらない自動車業界の再編劇。しかし、突如、降って湧いた「米ゼネラル・モーターズ(GM)とルノー・日産自動車の提携」の場合は、どうも様子が違う。競合他社は、まるで知らん顔。むしろ、提携交渉を見てほくそ笑んでさえいる。生産台数で年間千五百万台規模。年内にも世界一になりそうなトヨタ自動車のおよそ二倍、北米市場の八割以上を賄えるというかつてない巨大自動車メーカー(グループ)誕生の可能性を前にしても、業界内にはまるで動揺がない。 なぜなら、この提携交渉、登場する名前こそビッグだが、実情は「世界最大の弱者連合誕生」となる可能性が高く、その行方には極めて厳しい目が注がれているからだ。 提携の第一報は、デトロイト発だった。GMの個人最大の株主(約一〇%保有)であるカーク・カコリアン氏率いる投資顧問会社「トラシンダ」が、GMのリチャード・ワゴナー会長に対し「経営再建のため、ルノー・日産連合との提携」を提案したのだ。カコリアン氏の表面的な狙いは単純だ。「極度の不振に喘いでいた日産をV字回復に導いたカルロス・ゴーン社長の経営手腕を活用」(カコリアン氏)し、ルノー・日産の提携で成功した部品共通化や車種統合、新車の共同開発などの「コスト削減が、三社連合によって一段と加速し、さらに大きな相乗効果が期待できる」(同)というもの。

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