8月1日、ブラジルのルセフ大統領との会談を前に歓迎を受けた安倍首相 (C)AFP=時事
8月1日、ブラジルのルセフ大統領との会談を前に歓迎を受けた安倍首相 (C)AFP=時事

 7月25日のメキシコ訪問に始まり、8月2日のブラジル訪問をもって、安倍晋三総理の5カ国、9日間に及んだ中南米歴訪が終了した。2012年12月就任以来、「地球儀を俯瞰する外交」を掲げ、アフリカを含め精力的に世界を歴訪した安倍政権にとって、最後に残されたのが中南米地域であった。

 今回の総理の中南米歴訪は、70人に及ぶ産業界首脳を引き連れてのものであり、資源供給地であることはもとより、安定した成長市場と生産拠点として重要度を増している中南米諸国との関係強化を図ることに主たる目的があった。170万人を超える日系コミュニティーを擁する親日的な伝統的友好関係の増進と国際社会でのパートナーシップを関係国と確認するという点を含め、まずまずの成果を収めたといえる。

 中南米諸国が全体で人口6億人を擁す安定した成長市場であるという点を日本はもっと認識すべきであろう。過去10年間の持続成長の結果、ミドルクラスが約1億人から1億5千万人に増加、世界銀行はその成長ぶりを中南米の「ミドルクラスの台頭」として報告している(2013年8月14日拙稿「中南米を襲う『ミドルクラス革命』の波」参照)。中南米諸国は全体で、1人当たりの国民所得が1万ドルを超えた。日本と同程度の経済規模で、民主化が定着し、紛争もない、成長著しい新興国途上国の中でも桁外れに安定した地域といっても過言ではない。

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