インド国民会議派「最後の切り札」プリヤンカ

執筆者:緒方麻也2014年8月17日

  経済の低迷や相次ぐ汚職などに有効な手を打てずに今春の総選挙で歴史的大敗を喫し、改選前の約5分の1、わずか44議席の少数勢力へと転落した名門老舗政党・国民会議派(コングレス)が、いよいよ最後の切り札を投入するかもしれない。

  いまだ党勢回復のめどが立たず、これまでは鳴りを潜めていた総裁・副総裁への批判が噴出、地方議員らの離反も相次ぐ中、今秋には北部ハリヤナ州、西部マハラシュトラ州などの重要州で議会選が行われる。危機感を強めた党幹部らの間では、カリスマ性と大衆人気を併せ持つソニア・ガンディー総裁(67)の娘プリヤンカ・ヴァドラ(42)の政界入りを求める声が再び高まり始めた。

 インドきっての名門ネール・ガンディー家の最終兵器・プリヤンカはいかなる決断を下すのか。

 

祖母譲りのカリスマ性

 プリヤンカは今のところ、党のいかなる役職にも就いていないが、選挙キャンペーンのたびに母ソニアや兄(ラフル・ガンディー副総裁、44)の応援演説をこなしてきた。しかし、その演説は非常にパワフルで聴衆を引きつける力は十分。自ら農村婦人などの輪に飛び込んでいく庶民性もあり、人気は非常に高い。表情や所作には祖母インディラ・ガンディーの面影もあり、本人もそれを意識してかインディラの形見のサリーを着用して演説に立つことも多い。その存在感や動員力は、いまだに頼りなさが先立つ兄ラフルを大きくしのいでいる。

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