「合法化」へと向かう米欧「安楽死」の現場

執筆者:大西睦子2014年9月1日
 「安楽死法」が成立しているベルギーでも、子供の安楽死合法化には激しい反対運動が (C)EPA=時事
「安楽死法」が成立しているベルギーでも、子供の安楽死合法化には激しい反対運動が (C)EPA=時事

 やがて訪れる「人生の終わり」。この瞬間を、私たち誰もが避けることはできません。愛する家族や仲間に、いずれかのタイミングで、最後の別れを告げなければなりません。非常に感情的な瞬間です。死にいく人の恐怖感や孤独感、残される家族や仲間の悲しみやストレスの大きさは計り知れません。その人生の終わりを決定するのは誰でしょうか? 自分で決めるべきなのでしょうか? それとも、家族、医師、あるいは政治家や法律家が決めるべきなのでしょうか?

 

「医師による自殺幇助」

 先日、スイスにおける「安楽死」の調査結果が、チューリッヒ大学の研究者より報告されました。調査によると、2008年から2012年までに、31カ国、611人が、安楽死のためにスイスの主にチューリッヒ州に渡航しています。その数は、2008年(123人)に比べ、2012年(172人)は39.8%増加しています。

 611人のうち約半分はドイツ(43.9%)、続いて英国(20.6%)、フランス(10.8%)の渡航者が多く、全体の58.5%は女性で、平均年齢は69歳(23−97歳)でした。安楽死を選択する原因となった疾患は、神経疾患(47%)が最も多く、続いて、がん(37%)、リウマチや心臓疾患でした。

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