いまからでもインドで勝つための十の鉄則

執筆者:久保木一政2006年9月号

[バンガロール発]中国に次ぐ人口と、高い経済成長率を背景に、インドへの投資が盛んだ。インドに設立された日系企業数も、二〇〇三年八月時の二百三十一社から、〇六年六月時の三百五十二社へと、この三年で急増している。 一方、インド政府が、その高い技術力でインド工業の発展に寄与してもらいたいと熱い視線を送る日本の中小企業は、まだ進出に慎重だ。インド視察団の一員として訪れたある中小企業の社長は、猛暑のインドと、遅れたインフラ状況を見て、既に進出している日系企業の決断の勇気と根気の経営に脱帽しつつ、自社の進出の決断はしばらく先と結論づけていた。 しかし、インフラが整ってから進出するのか、開拓者精神を持って進出するのかでは、決定的な差が生じてしまう。無理は禁物だが、それなりの布石は今打っておかなければ必ず後悔する。インドは中国・東南アジアとは違うが、その違いさえ認識すれば、難しい市場ではない。スズキや本田技研工業、三菱化学など、大きな成功を手に入れている企業も多い。 インド市場で成功するためには何が必要なのか? これまで見てきた事例をもとに十項目に纏めてみた。▼インドの弱点こそチャンス スズキはなぜ一九八二年にインド進出を決断したか。当時インドの自動車市場は国内企業二社の寡占状態で、モデルチェンジもない旧式の車しかなかったからだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。