世界経済をアートにする妙味

執筆者:インゴ・ギュンター2006年10月号

 世界銀行グループの一員で、途上国投資促進を目的とする国際金融公社(IFC)から、「南南投資」をアートにしようと誘われた時、さほど厄介な企画だとは思わなかった。「南北問題」といえば、北半球の先進国と南半球の途上国の間の問題だ。途上国から途上国への投資を視覚的に表すには、南半球諸国から矢印を伸ばして、また同じところに戻せば事足りると考えたのだ。 ところがIFCの定義によると、「南」に分類される国の過半数は北半球にあり、東ヨーロッパから、旧ソ連諸国、果ては北極海にも及ぶ。近年、「南」から「北」に分類し直されたのは、韓国一国のみである。一方、いうまでもなく、北朝鮮は「南」の国だ。 世銀によれば、南南投資は一九九五年から二〇〇三年の間に百五十億ドルから四百六十億ドルへ、三倍にも膨らんだ。「南」から「北」への輸出も増加し、二〇〇三年には七十億ドルに達している(上の地球儀)。 下の地球儀は、「ビジネスのやりやすさ」を示している。 途上国では往々にして、政府による過剰な規制が新たなビジネスの立ち上げを阻害していることがある。そこで世銀は二〇〇五年から二〇〇六年にかけて、世界百五十五カ国で、起業にどのくらいの規制があるかを調査してランキングした(www.doingbusiness.org)。

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