北朝鮮滞在も5日目に入りました。10月11日、12日はもっぱら施設参観でした。この施設参観の話に入る前に、まず今回の北朝鮮訪問で実感した人々の暮らし向きや経済の話をしようと思います。

 

目立つハイヒール

 平壌は12年ぶりの訪問でしたが、いちばん感じたのは社会主義的な暗さが少し薄れたような感じでした。街全体がなんとなく明るくなり、女性の服装などもそれぞれの人が工夫をしていると感じました。以前は、何かくすんだ感じがあったのですが、少し垢抜けした感じです。ただし、これは僕たちが訪問した期間が10月10日の党創建記念日をはさんだ1週間でしたから、普段よりも平壌が美化されていたのかもしれません。

 ハイヒールを履いている女性がずいぶん多くなったように感じました。女性の足下ばかり写真を撮ったり、見つめたりしていると変な目で見られました。まだ数は少ないものの、イヤリングを付けた女の子もいました。

 しかし、平壌の街をよく目を凝らして見ていると、華やかな服装の一方で、人民服のような格好で、とても重たそうな荷物を担いでいるような従来式の姿もありました。これからの北朝鮮はむしろ、この服装の差に現れているような「格差」との戦いを強いられるのではないかと思いました。社会主義の原則は「平等」ですが、「市場」(いちば、しじょうではありません)の拡大で商業主義が入り込み、北朝鮮にも格差の拡大という風が吹いているように思いました。北朝鮮当局は頭が痛いことでしょう。

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