国際秩序に挑む「中国・ロシア」への警戒感

執筆者:会田弘継2014年12月26日
 世界はますますこの2人に警戒感を強めている(C)AFP=時事
世界はますますこの2人に警戒感を強めている(C)AFP=時事

 年の瀬になると、今年の世界はどんなだったのかと、ざっくり考えてみたくなる。英紙というよりグローバル紙と呼ぶのが相応しくなった『フィナンシャル・タイムズ(FT)』で「グローバル政治」を担当するフィリップ・スティーブンスが、それに答えてくれるようなコラムを書いている。題して「今年は豪腕政治指導者の年」。【This is the year of the political strongman, FT, Dec. 4

 ざっと見渡しただけで、中国の習近平国家主席が権力を固めて毛沢東以来最強といわれる指導者になり、ロシアのプーチン大統領はウクライナへと侵攻した。エジプトでは軍最高評議会議長だったシーシ元帥が大統領に就任して再び強権政治が始まり、トルコでは長期にわたり首相を務めたエルドアンが、今度は大統領となって権勢を奮っている。インドではモディ首相が誕生し、日本には安倍首相がいる……。

 スティーブンスは、これら豪腕政治指導者に共通するのは「協力よりも競争を好み、国際主義者(インターナショナリスト)というよりナショナリスト、中国とロシアの場合は臆面もなく新秩序を求めている」と評している。21世紀は欧州共同体のように主権国家を超えてポストモダンの世界に進むかと思ったら、逆に大国のパワーポリティクスに戻ってしまった、というのがスティーブンスの見立てだ。頷かざるを得ないところがある。

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