イラン核開発情報の入手および分析をめぐって、米国の中央情報局(CIA)と国務省が激しく対立しているようだ。 国務省は昨年十二月、CIAに対し、イランの核兵器システム設計計画に関与しているイラン人に関する情報の提供を求めたが、CIAはこれを拒否。その理由としてCIAは、「イランに関する秘密情報の入手方法が漏れる恐れがある」と説明した。 国務省側は「米国への入国や米企業との商取引の禁止対象者のリストを作成するうえで不可欠な情報だ」としてCIAに再三提供を求めたが、受け入れられなかった。このため国務省は、インターネットを使って、核開発に関与していると疑わしきイラン人を探す羽目に陥ったという。 一方、CIAは昨年暮れ、米国在住のイラン反体制派グループから国務省に提出されたイラン最新情勢報告についての分析結果の提供を国務省当局者に要請したが、「まだ検討中」としてはねつけられたという。 ワシントンの消息筋は「両者の反目はイランの核開発問題だけでなく、イラク情勢やパレスチナ情勢、あるいは北朝鮮の核開発など、世界のあらゆる問題をめぐっても起きている」と指摘する。 二〇〇四年に国家情報長官ポストが設置され自らの存在価値が相対的に低下したCIAが、従来に増して秘密主義になっていることが軋轢の最大の要因との見方もある。

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