三井記念病院は、周辺の開業医の先生方から見ると、かなり敷居が高く、どちらかというと地域の開業医の先生方との連携は、少ない方でした。
   
 当院の医師は良い意味でも悪い意味でもプライドが高く、自分の治療方法に自信を持っているのだと思います。開業医の先生に逆紹介することを躊躇する医師がいたことも事実です。ですから以前は、地域の開業医の先生方から患者さんを紹介される、あるいは、患者さんを戻すという逆紹介もあまり行われていませんでした。

  けれども今、地域で中心的に機能する基幹病院で初診から完治までを見届ける医療ができなくなっています。昔は、交通事故による外傷など急性期疾患患者がメインでしたので、基幹病院に運ばれ、入院して、完治、その後、定期検診という流れができていたのですが、近年の急激な高齢化による疾病構造の変化で、糖尿病やがんなどの慢性期疾患の患者が急増し、完治のない通院の医療が当たり前になりました。

  本来、慢性期疾患であれば、開業医の医師に診てもらいきめ細かい医療を提供されるのが一番いいはずなのですが、日本では、医療分野の細分化が進むとともに人々の間に専門科医志向が高まり、高い専門性を有する医師のいる大病院に患者さんが集まる傾向が強くあります。そこで現在、基幹病院はパンク状態になっています。大きな有名病院の外来待合室が、診察を待つ新しい患者さんでごった返している光景を見て、驚かれる方も多くいらっしゃるかと思います。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。