ウクライナ紛争で険悪化する一方の米露関係で、数少ない協力分野が対テロ対策だろう。プーチン政権は、イスラム過激派組織「イスラム国」に加わるチェチェン人らロシア国籍の過激派が帰国してテロを行うことを警戒し、内心は米国の限定空爆を支持している。だが、チェチェン人が次第に「イスラム国」から帰国しつつあるとの情報もあり、ロシアにとっては不気味だ。

 

ロシア国籍の1700人参画

 オバマ米大統領が主催してワシントンで2月18、19日行われた「過激派対策サミット」に、プーチン大統領側近のボロトニコフ連邦保安局(FSB)長官が出席した。対ウクライナ秘密工作の責任者とされる同長官は、欧州連合(EU)の入国禁止リストに入っているが、米国のリストには含まれていない。

 RIAノーボスチ通信によれば、同長官は会議で、シリア、イラクにまたがる「イスラム国」にロシア国籍の1700人が参画していると述べ、「テロリストが母国に戻り、テロを行うことを阻止する必要がある」と強調した。また、「イスラム国」には100カ国から2万人の外国人が参加。その数はこの数カ月で7000人増加したと推計した。

 ロシア国籍の参加者とは、ロシア連邦からの独立を目指すチェチェン人ら北カフカス地方のイスラム教過激派戦闘員で、トルコや欧州経由でシリアに入ったとされる。「イスラム国」の戦闘員は、チュニジア人、サウジアラビア人、ヨルダン人が多いが、チェチェン人や中央アジアのウズベク人も有力勢力として指導部内で台頭しているという。「外国人戦闘員と旧来のイラク人勢力の間で活動方針をめぐり摩擦が生じている。ロシアを相手に武装闘争を続けてきたチェチェン人は実戦経験に富み、影響力を広げている」(読売新聞、2月20日付)とされる。

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