「不二家ブランド存続」の意義を問う

執筆者:喜文康隆2007年4月号

「組織体の最大の貢献、つまり最大の『社会的責任』は、その機能を遂行することである。そして最大の『社会的無責任』とは、これらの組織体の能力を超えた課題に取り組み、あるいは『社会的責任』の名の下に……自己の機能遂行能力を損なうことである」(P. F. ドラッカー『マネジメント(上)』)     * 杜撰な品質管理が表面化して生産を全面停止した不二家が、生産を再開するまでの二カ月のドラマには、茶番という言葉がぴったりくる。 三月二日付の朝日新聞は、不二家の「安全宣言」と、これに伴う生産再開を取り上げ、「恒常的に外部の目を」と見出しを立てている。しかし、不二家は、恒常的に外部の目でチェックしていくに価するような会社なのだろうか。 不二家の期限切れ牛乳の使用が明らかになったのが一月十一日、藤井林太郎社長が「社の体質に問題があった」と引責辞任を表明したのが十五日、そして二十二日に櫻井康文が創業家以外で初の社長に就任する。 櫻井の就任と同時に、マスメディアに向けた奇妙な演出が始まる。まず、同日付で「外部から不二家を変える」改革委員会なるものが発足する。メンバーは、委員長に田中一昭・拓殖大学教授、委員長代理に久保利英明・日比谷パーク法律事務所代表、そして弁護士の兼元俊徳・前内閣情報官、作家の吉永みち子など八名(現在は七名)で構成される。

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