強気の不動産王「金子修」はじめての蹉跌

執筆者:杜耕次2007年4月号

次から次へと不動産を買いまくる男。いまや日本の不動産マーケットでは「独り勝ち」状態だが、市場の番犬にガブリとやられ……。 この一年、国内の不動産マーケットで最も注目を集めてきた男が窮地に陥っている。金子修(五九)。大証ヘラクレス上場の不動産投資会社ダヴィンチ・アドバイザーズ社長である。二月十四日、証券取引等監視委員会(日本版SEC)はダヴィンチ系列の不動産投資信託(JREIT)運用会社が取引物件の杜撰な鑑定評価で投資家の利益を損ねたとして、金融庁に行政処分をするよう勧告した。“バレンタインデーの虐殺”――。大手不動産幹部やメガバンク関係者は、飛ぶ鳥を落とす勢いだった金子が市場の番犬に襲われた今回の「事件」をこう呼ぶ。ダヴィンチ株は翌十五日にストップ安となり、三月五日現在一二万二〇〇〇円と二月十四日終値から一七%下落している。「何かというと米国基準を持ち出し、当局の神経を逆なでする言動を繰り返していたというから、ウチも警戒してはいたんだが……」。ダヴィンチと取引関係にあるメガバンク関係者は言葉を濁す。 SECの開示資料によると、法令違反の内容はこうだ。ダヴィンチ系REIT、DAオフィス投資法人の資産運用を受託しているダヴィンチ・セレクトが賃貸ビルなど五つの物件を購入する際、不動産鑑定会社に誤った資料を提出して割高な価格で取得することになった。

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