3月20日、安全保障法制整備に関する与党協議会を終え、記者会見に臨む公明党の北側一雄副代表(中央)。右は自民党の高村正彦副総裁 (C)時事
3月20日、安全保障法制整備に関する与党協議会を終え、記者会見に臨む公明党の北側一雄副代表(中央)。右は自民党の高村正彦副総裁 (C)時事

 自民、公明両党は3月20日、新しい安全保障法制に関する骨格文書を正式にまとめた。この合意文書は集団的自衛権の行使や他国軍を支援するための新法(いわゆる恒久法)制定などを含んだ内容である。政府・与党はこれに基づく法案を4月下旬以降に国会に提出する予定だ。とりまとめ作業は難航をきわめたが、一連の経過を振り返って分かるのは、それでも合意に漕ぎつけた自公両党の結束の強さである。

 

冒頭に「北側3原則」

 この文書をみれば、安保法制に前向きだった自民党と消極的だった公明党が合意に達した背景には、長年築かれた両党の信頼関係があることがよく分かる。

 自公合意文書の細かい内容には触れないが、たとえば前文に続く第1項には、法改正の個別事案とは別に「全般」という項目が設けられ、唐突に自衛隊の海外活動における3つの条件が提示されている。これは今回の文書とりまとめの公明党側担当者だった北側一雄副代表が提案した条件であり、「北側3原則」と呼ばれる。自公両党にそれぞれの言い分がある中で、公明党側の条件を冒頭に持ってきたのが、自民党の知恵である。要は公明党に配慮したのだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。