フランスの原子力国策企業のアレバが、日本の大型鍛造品メーカー「日本製鋼所」の株式取得を狙っている。 原子力発電所は蒸気タービンや原子炉圧力容器といった複数の超大型設備を組み合わせるプラント。これら主要設備の基となる大型鍛造品が手に入らないと、原発メーカーは超大型設備を仕上げることができない。 米国や中国などで新設される原発はいずれも百万キロワット超級。これらの原発に組み込む大型鍛造品を造れるのは、世界広しといえども「一万四千トン級の超大型水圧プレス機を備える日本製鋼所のみ」(関係者)。 発電時に二酸化炭素を排出しない原発は、世界で今後百基以上が新設される見通し。日本製鋼所には「とにかく大型鍛造品を売って欲しい」と世界各国から客が押し寄せる。同社も原発向け大型鍛造品の増産に乗り出しているが、「需要を考えるとまだ足りない」(関係筋)。 大株主になれば製品を安定確保できる。アレバ首脳は「機密事項だから詳しくは話せないが、市場の流れによっては(株式取得も)ありえる」と打ち明ける。 もし実現すれば、日立製作所や東芝、三菱重工業など日本の原発メーカーにも影響を与える。「日本製鋼所が買収防衛策を準備している」との報道もあり、注目が集まっている。

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