メイド・イン・チャイナの信用失墜は中国経済にとって長期的なリスクとなろう。だが、より大きなリスクの存在も示唆している。原発だ。 今夏、日本でも大きな話題になった北京市の「段ボール入り肉まん」。中国人はもちろん日本人もリアリティを感じた報道だった。そのニュース映像が世界を駆けめぐっている最中、中国政府は「番組はスタッフによる捏造で、現実には段ボールの入った肉まんなどなかった」と発表した。あまりに唐突だが、話としては「さもありなん」と思わせる決着だった。だが、不思議なのは番組スタッフこそ処分を受けたものの、放送した北京電視台や関係部門の幹部が何のお咎めも受けなかったことだ。 水酸化ナトリウムに浸した段ボールを包丁で刻み、肉と混ぜ合わせる衝撃の光景は世界に伝えられ、折から安全・品質問題が多発していた中国製品の信用失墜を加速した。もし本当に捏造番組だったらテレビ局のトップどころかメディアを指導監督する国家広播電影電視総局のトップの首が飛んでも何らおかしくはない。事件の幕引きの唐突さ、発覚後の対応の不自然さをみれば「段ボール入り肉まん」が現実だったとの疑念は増すばかりだ。 その後、中国ではそれ以上に手の込んだ偽物が横行していることも伝えられている。偽鶏卵だ。炭酸カルシウムで殻をつくり、アルギン酸ナトリウムとミョウバンやゼラチン、デンプンなどで白身と黄身を偽造する。本物の鶏卵の十分の一以下のコストでそっくりの偽物がつくれるという。もちろん栄養分は皆無で、長期間食べ続ければ、記憶力の低下などが起きる恐れがある。報道されたのは河南省鄭州市だが、中国各地で同様の偽鶏卵が出回っているといわれる。

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