厳しい状況に追い込まれているが……(C)AFP=時事

 

 米国大統領選挙の投票日である11月8日まで3週間足らずとなった。10月19日にはネヴァダ州ラスベガスで開催された最後となる3回目の大統領候補討論会も終わり、本選挙キャンペーンはいよいよ最終盤に入り、ドナルド・トランプ共和党候補とヒラリー・クリントン民主党候補はホームストレッチでの争いを繰り広げている。

 筆者は10月上旬から中旬にかけてニューヨーク、ワシントンに滞在し、米国シンクタンクの米国政治専門家や元政府関係者、コンサルタントらとの意見交換を重ねていたが、彼らは異口同音にクリントン候補がトランプ候補に勝利すると予測していた。実際、クリントン陣営は全米各州での組織力、政治資金調達などの点でトランプ陣営を凌駕し、クリントン候補は各種世論調査でも接戦州を中心に優位な立場を維持し続けており、このまま投票日を迎えた場合、次期大統領に当選する可能性が高いと見られる。

 

トランプ陣営のホワイトハウス奪還戦略

 逆に、トランプ候補は当選に必要な270名の大統領選挙人の獲得という点で厳しい現実に直面している。2012年大統領選挙では、現職のバラク・オバマ大統領が大統領選挙人332名を獲得して再選を果たした。他方、共和党候補のミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事は206名を獲得したにとどまり、敗北を喫した。以下では、ロムニー候補をはじめとする1992年以降の過去6回の大統領選挙での共和党候補の戦い振りを検証しながら、トランプ氏のホワイトハウス奪還に向けた戦略について検討したい。

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