「統合」「連合」の悩み

執筆者:冨澤暉2017年2月4日

 前回の「陸・海・空自衛隊と統合化」の記事は「統合化」の部分が短く不十分であった。そこで今回は、その「統合」を更に補足説明するとともに、国際協力に関わる「連合」の現状、問題点について述べることにする。

 軍事における「統合」は一般的に「陸、海、空軍」の力を1つにまとめ、総合的な力にすることである。現代では陸・海・空軍の他に海兵隊・宇宙軍・サイバー軍などがこの「統合軍」の中に含まれようとしている。

 軍事における「連合」は「各国軍」の力を1つにまとめ、国際協力の力にすることであり、「国連軍(PKOを含む)」「NATO軍」「有志連合軍」「米韓連合軍」などがその一例である。

連合を間違って使っていた日本

 かつて帝國海軍には連合艦隊というものがあった。外戦用の艦隊のほとんど全部を1つの連合艦隊に編合した本来非常設の艦隊であったが、大正12年以降昭和20年までは常設されていた。日本海海戦時の東郷平八郎大将や真珠湾・ミッドウェイ海戦時の山本五十六大将が連合艦隊司令長官であったことを知る人は若い人々の中にもかなりいる。

 また、陸上自衛隊にも諸職種(兵科)連合部隊という言葉があった。特に、筆者自身が所属していた機甲科の人間がよく使用していたものである。機甲部隊とは戦車主体の部隊のことだが、この部隊は戦車だけでは戦えない、相手に歩兵・砲兵・工兵がある限りこちらにも普通科(歩兵)・特科(砲兵)・施設科(工兵)隊員が必要である。無論、整備・補給を担当する兵站部隊も要る。これらの随伴部隊も戦車同様に敵火力に耐え、機動力を発揮出来なければならないから全て装甲車輛化したもの、すなわち「諸職種連合装甲化部隊」を作ろうというのが我々の合い言葉であった。1990年代にその形の第7機甲師団が実現したとき、我々は本当に喜んだものである。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。