トランプ大統領の「マッドマン」心理戦略

執筆者:春名幹男2017年4月20日
その「マッドマン」ぶりは仕組まれた戦略か、それとも天然のものか (c)EPA=時事

 

「常軌を逸していて、予測不可能」と中国側からも恐れられていたトランプ大統領(米紙『ニューヨーク・タイムズ』)。しかし、その大統領がいま「狂気の戦略がかえって、世界に安定をもたらしたかもしれない」(米ウェブ誌『スレート』)とも評価されている。

 一体、何が起きたのだろうか。

 狂気の戦略とは英語でmadman theoryだが、ここでは意訳して「戦略」とした。ちなみにマティス米国防長官はmad dogと呼ばれ、日本メディアは「狂犬」と訳したが、正しくない。狂犬はrabid dogが正しい。

 この戦略、トランプ大統領自身が尊敬していた故ニクソン大統領が元祖の発案者だ。トランプ氏はニクソン氏からもらった1987年当時の手紙を額に入れて大統領執務室に飾るほどのニクソン・ファン。手紙は、本文わずか5行で、「妻はあなたが選挙出馬を決めたら勝つと予想している」という他愛ない内容だった。

 長文の文書を読むのが嫌いな現大統領。国家情報長官(DNI)事務所が毎日行う「大統領日報」ブリーフィングは1テーマ1ページ以内を原則に、大統領が好む写真や図表などビジュアル資料を増やす方向といわれる。

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