米中「朝鮮半島処分」で迫る日本の「悪夢」

執筆者:青柳尚志2017年5月2日
共同訓練で米原子力空母「カール・ビンソン」と並走する海上自衛隊のイージス艦「あしがら」(左)と護衛艦「さみだれ」(後方)=26日、フィリピン海(米海軍提供)(C)時事

 

 戦争の実感を持たず「奇妙な戦争」と呼ばれた、第2次世界大戦勃発直後のフランス・パリの光景もそうだったのだろうか。あるいは、ナチスドイツとのかりそめの宥和を達成した、チェンバレン英首相を歓呼の声で迎えたロンドン市民の雰囲気なのだろうか。北朝鮮をめぐる情勢が緊迫の度を増すなか、東京での日常の生活は何事もなかったかのように過ぎていく。「平和ボケ」ではあるのだが、何ともうまい表現が見当たらないのが悩ましい。

金正恩が踏んだ「トランプの尾」

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)党委員長は、トラならぬトランプの尾を踏んでしまったことに、今さらながら戦慄を覚えていることだろう。国内の団結を固め、米国をこちらに向かせよう。いわば求愛の意味を込めて行った一連のミサイル実験が、トランプ政権の逆鱗に触れてしまった。トランプ大統領はホワイトハウスに議会関係者を集めた報告会で、北朝鮮への対処を「米外交の最優先課題」と位置付けた。「戦略的忍耐」を掲げ、アジアの問題から目を背け続けたオバマ政権との対照は明らかだ。

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