5月10日、大統領就任式に臨む文在寅氏(右)と、金正淑夫人 (c)EPA=時事

 

 5月9日に投開票が行われた韓国の大統領選挙は、「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)候補が1342万3800票(得票率41.08%)を獲得して当選し、翌10日、正式に第19代大統領に就任した。

 選挙結果は下表の通りだが、2位以下をダブルスコアの大差で引き離す圧勝だった。その勝利の背景、新政権の閣僚人事、そしてその抱える課題と行方について、短期集中連載で分析する。

市民パワーの勝利

 昨年10月に朴槿恵(パク・クネ)前大統領の知人、崔順実(チェ・スンシル)被告の国政介入疑惑が暴露され、毎週、大規模デモが続き、最大時には全国で200万人以上が参加した「ろうそくデモ」の力が政権交代を求める市民パワーとなり、文在寅政権を生み出したと言ってよい。

 保守はただでさえ国民の信頼を失って劣勢だったが、朴槿恵氏の居直りで与党は分裂し、大統領候補も最後まで一本化できなかった。中道の安哲秀候補は、一時は行き場を失った保守票を取り込んで文在寅候補と並ぶ善戦をしたが、選挙戦が最終局面に入ると、文在寅候補に対して「親北左派政権の誕生を許すな」と叫ぶ洪準杓候補がやや支持を回復して安哲秀候補の票を食い、票が分散して、文在寅候補に漁夫の利を与えた。

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