「運転手はキミだ、首相はボクだ」

執筆者:名越健郎2008年6月号

 メドベージェフ大統領(42)、プーチン首相(55)が統治するロシアの「双頭政治」がスタートした。ロシアの国章「双頭のワシ」は、東ローマ帝国や帝政ロシア・ロマノフ王朝の紋章であり、ユーラシアにまたがるロシアが、欧州とアジアを支配するという意味合いが込められている。 メドベージェフ氏はサンクトペテルブルク時代から17年間プーチン氏の部下で、主従関係は変わらない。プーチン氏はバックシート・ドライバーとして方向を指示し、運転手も行き先を尋ねそうだ。プーチン氏が「代われ」と言えば、いつでも運転を交代するだろう。 ペレストロイカ期に学生生活を送ったメドベージェフ氏はリベラルな「ゴルバチョフ・チルドレン」。KGB(ソ連国家保安委員会)出身のプーチン氏は強権・強面の「アンドロポフ・チルドレン」であり、双頭のワシが逆方向に向かおうとするかもしれない。 プーチン首相の記者会見で、記者団が質問した。「執務室にメドベージェフ大統領の肖像画を掲げますか?」「掲げない。代わりに、クマ(メドベージ)の毛皮をじゅうたんにするつもりだ」 メドベージェフ大統領がプーチン首相に電話した。「大統領のメドベージェフです……」

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