「ガバナンス」崩壊の「国立大学」に必要な「公正」と「自立」
2017年9月15日
2015年6月、東京工科大学の教員が研究室内で首つり自殺した。このことを『FACTA』9月号が報じた。
私は、この事件は、我が国の大学が抱える構造的な問題を象徴していると考えている。本稿では、これまでメディアがあまり取り上げてこなかった、この問題について論じたい。
再雇用の撤回
自殺した教員はメディア学部の特任講師だ。2012年10月、就職指導を担当する教員として採用された。任期は3年間だ。
多くの大学では、このような有期雇用の職員の場合、任期最終年度に業績が評価され、雇用を延長するか否かが決まる。
この職員の場合、2014年10月に大学の人事委員会が評価し、「高得点の評価」(関係者)で、さらに3年間の任期延長が承認された。
しかし、ここから事態が急展開する。3カ月後の2015年1月、当時のメディア学部長が「3年延長の契約はなくなった」と教員に伝えてきたのだ。この職員が不祥事を起こしたわけではない。教員が学部長に抗議し、「労基署にいく」と伝えたところ、4月には再び任期が延長されることとなった。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。