「景気回復」命運握る「賃上げ」は実現するか

執筆者:青柳尚志2018年1月10日
経済3団体の賀詞交換会では安倍首相も3トップも顔がほころんでいたが……(左2人目から榊原定征経団連会長、小林喜光経済同友会代表幹事、三村明夫日本商工会議所会頭)(C)時事

 

 犬笑う――2018年は株式市場の格言を地で行く年明けとなった。内外の市場は連動する形で相場の上値を追っている。バブルかどうかといえば、明らかにバブルに足を踏み入れている。だが音楽が流れているうちは、ダンスをやめるわけにはいかない。世界の投資家たちは、そんな呪文に金縛りに遭っている。

 日経平均株価は年明けの1月4日と5日の2営業日で1000円近く上昇し、2万3000円台に乗せた。終値でみると1992年以来、26年ぶりの高値になる。1990年に株式のバブルが崩壊した後の、その余韻が残るころの株価水準である。日経平均の最高値は1989年12月29日の大納会の3万8915円だったから、足元の水準はその6割程度。

 にもかかわらず、大発会や財界賀詞交換会に姿を見せた証券界の面々は、高揚感に浸っているようにみえる。「2万5000円は指呼の間」「年末は2万7000円」「いや3万円」といった威勢のいい会話が飛び交う。何とノー天気なと言うことなかれ。ニューヨーク・ダウ工業株30週平均が初めて2万5000ドルを突破した米国で、ドナルド・トランプ大統領が言っているではないか。「次は3万ドルだ」と。

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