このマドゥロ大統領が変わらない限り、ベネズエラの経済・石油事情は変わらないかも(C)EPA=時事

 

 1980年代前半だったと記憶するが、初めてブラジルに出張したときのことだ。ホテルの部屋にあったルームサ―ビス・メニュー表がすべて「時価」になっているのに首を傾げ、地元駐在員に尋ねたことがある。理由はハイパーインフレだった。現地通貨表示の価格は「毎日」上がるので、「時価」と書かざるを得なかったのだそうだ。

 1923年のドイツでは、ビヤホールで飲むビールの値段が1杯目と2杯目では異なるというエピソードを野口悠紀雄先生がお書きになられている。飲んでいる間にもインフレが進行しているというわけだ。ご興味のある方はぜひ、当サイトの連載「マネーの魔術師」第35回「『手押し車の年』となったドイツの1923年」(2018年1月25日)をお読みください。

 ベネズエラが現在、直面している年率1178%(!)のインフレというのは、1923年のドイツほどではないのだろうが、筆者のブラジル初出張時程度のものなのだろうか。

深刻な経済の崩壊

『Financial Times』(FT)の定期的寄稿者、ニック・バトラーがベネズエラの近況をまとめて書いている。東京時間 2018年1月29日14:00ごろにアップされた 「What Venezuela’s chaos means for the oil」 というタイトルの記事だ。サブタイトルは 「The effect of the country’s collapse have begun to hit its core business」となっている。

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