ジャーナリストの磯山友幸氏(左)と『おカネの教室』筆者の高井浩章氏。同じ部署で働いていただけに、久しぶりの再会にも話は止まらず……

 

 かせぐ、ぬすむ、もらう、かりる、ふやす――お金を手に入れる6つ目の方法は?

そんな問いかけから始まる小説仕立ての子ども向け経済書『おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密』(インプレス)が話題を呼んでいる。新聞記者が本業の著者である高井浩章さんは、ユニークな著作にどんな思いや意図を込めたのか。高井氏が駆け出しの記者だった頃、同じ新聞社でキャップだったジャーナリストの磯山友幸氏が聞いた。

「僕」が入った奇妙なクラブ

磯山 お久しぶりです。10年ぶりでしょうか。高井さんの『おカネの教室』がベストセラーになっていますね。おカネというものを通して経済を分かり易く解説していて、子どもたちにも経済に関心をもってもらう第一歩になる「名著」だと思います。もともとご自身のお子さんに読ませるために書いたそうですが、どうしてお子さんに向けて書こうと考えたのですか。

高井 大先輩の磯山さんに名著と言っていただけるとは光栄です。実は、長女が10歳くらいになって、お小遣いを自己管理するようになったタイミングで、自分で使い道を考え、選択して欲しいなと思ったことが1つ。もう1つは、ちょうどリーマンショックやギリシャ危機が起こった後で、おカネの仕組みは大丈夫なのか、子どもたちにも理解して欲しいと思ったことがきっかけでした。初めは、良い本がないかなと本屋で探したのですが、入門書はたいてい面白くなかった。「おカネの本」というと資産運用とか税金対策とか、そんな本ばかりなんですね。仕方がなく自分で書くことにしたのです。

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