「トランプ化」がますます進む「共和党」

執筆者:足立正彦2018年6月20日
共和党内にも批判勢力はあるのだが……(C)AFP=時事

 

【ワシントン発】 5月から6月にかけて全米各地で予備選挙が本格化しているが、6月12日にはメイン州、ネヴァダ州、ノースダコタ州、サウスカロライナ州、ヴァージニア州の5州において予備選挙が実施された。

 とりわけ注目されたのは、サウスカロライナ州、ヴァージニア州の共和党の予備選挙であった。サウスカロライナ州第1区下院議員選出の共和党予備選挙では、現職のマーク・サンフォード下院議員が敗北を喫した。またヴァージニア州では、超保守派のコーリー・スチュワート候補が共和党上院議員候補の指名を獲得し、11月に実施される本選挙で、2016年大統領選挙での民主党副大統領候補である現職のティム・ケイン上院議員に挑むこととなった。

 こうした予備選挙結果を受け、米国内ではドナルド・トランプ大統領の共和党に対する影響力がさらに強まってきているとの議論が活発に展開され始めている。

トランプ大統領の「敵」

 サンフォード氏は保守派下院議員としてトランプ大統領の政策を概ね支持する投票行動を示してきたが、トランプ大統領が推進しようとしているメキシコとの国境沿いの「壁」建設や、自由貿易支持の立場から1962年通商拡大法第232条(国防条項)に基づく鉄鋼製品・アルミニウム製品に対する輸入制限措置を発動するといったトランプ政権の保護主義的通商政策には、反対の立場を明確にしてきた。サウスカロライナ州知事も歴任した保守派の1人であるが、共和党内では、トランプ大統領に対する批判を繰り返し続けてきた数少ない与党政治家の1人でもあった。

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