【特別対談】池内恵×岩瀬昇:中東「いまを知る」決定版(2)
2018年8月7日
岩瀬昇 池内さんがおっしゃられたように、サウジアラビア(以下、サウジ)の脱石油化というのは、過去にも石油価格が下がるたびに言われていて、でも石油価格が上がってくると忘れちゃうということを繰り返してきた。
最近だと、2014年末に価格の下落が始まった。サウジでは2015年の初頭にアブドッラー国王が亡くなられて、サルマーン国王が継ぎ、それから今に至っているわけですが、「サウジアラビア ビジョン2030」(以下、「ビジョン2030」)を発表したのは2016年4月です。
つまりビジョン策定作業そのものは2015年中、石油価格が下がっているときなのですね。「マッキンゼー・アンド・カンパニー」が作成したレポートが2015年12月に出ていますが、それが「ビジョン2030」の下敷きになっている。油価がどんと下がって、シェール革命もあってこれはしばらく上がらないぞ、という見通しがあった。「ロウワー・フォー・ロンガー」といった、金融界で使われる言葉が石油市場でも言われるようになり、つまりは低価格がニュー・ノーマルなのだ、というような見方が定着をしているときに、おそらく作業を続けている。
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