中国の不動産バブル 峠の向こうに何が?

執筆者:日暮高則2008年9月号

 中国最大の都市、上海市の不動産景気もついに峠を越し、陰りが見えてきた。不動産情報を提供する上海佑威不動産研究センターの統計によると、二〇〇八年上半期(一―六月)に同市で取引された新築の商品住宅(マンションなどを含む)は五百二十六万平方メートル、取引総額で七百四十億元(約一兆一千七百億円)だった。取引面積では、昨年同期に比べ、約半分に減少した。一戸当たりの面積も、昨年同期の百二十四・六平方メートルから今年は百十六・二平方メートル、六・七%減とやや小粒になった。 取引熱を冷ましているのは、異常とも言える不動産価格上昇だ。今年上半期の一平方メートル当たり平均取引価格は一万四千元と、昨年同期の九千九百元から四一%もアップしている。昨年上半期は一昨年同期に比べてわずかに四・四%しか上昇していないことからすると、昨年から今年にかけて極端な不動産バブルが進んだことが分かる。 一方、上海市の今年上半期の区域GDP(総生産)は昨年同期比一〇・三%の増だったが、全国平均の一〇・四%を下回った。同市政府の蔡旭初スポークスマンは「GDPが全国平均以下だったのは短期的、一時的現象である」と強がりを見せたが、ショックは隠せない様子だった。これは同市の成長を支えていた不動産産業が証券産業とともに低迷したためで、特に、不動産取引の減少が区域GDPを〇・四ポイントも落とすマイナス貢献をしてしまった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。