すり寄ったけど、ソデにされてしまった(C)AFP=時事

 

 筆者が育った「三井物産」には伝説的な先輩が何人かいる。

 その1人がマレーシアのマハティール・モハマド元・現首相(1981~2003、2018~)に食い込んだ鈴木一正氏だ。三井物産クアラルンプール出張所勤務から始まり、それから30年以上もマレーシアに在住し、国家に多大なる貢献をなした鈴木氏は、1995年に日本人として初めて、マレーシア人でも数少ない「タン・スリ」の称号を得ている。社内でも「タン・スリ鈴木」と敬称されていた(『デイリー新潮』:「『日本人を裏切るな!』 92歳マハティール首相と日本の縁」2018年7月9日)。

 開業医から政治家に転じたマハティール氏は、1981年に首相に就任すると、マレーシアの経済発展を目指して「ルック・イースト・ポリシー」を掲げた。日本や韓国など、マレーシアの「東」にある国に学ぼう、というもので、タン・スリ鈴木を始めとする日本人ビジネスマンとの交流に触発されたことは間違いない(『日本経済新聞』:「私の履歴書 マハティール・モハマド 第16回 日本人」2008年11月)。

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