中西会長の責任は重い(C)時事

 

 日立製作所が建設費高騰で隘路に嵌っていた英国原発プロジェクトに対し、ついに白旗を掲げた。

 同社会長の中西宏明(72)は12月17日、経団連会長としての定例記者会見で、「民間の投資対象としてはもう限界だと英国政府に伝えた」と説明。2019年1月中に現行の枠組み変更などについて交渉がまとまらなければ撤退を検討する考えを明らかにした。

 世界的な原発衰退が進む中、日立は活路を英国に求めて巨額の資金をプロジェクトに投じてきたが、このまま撤退となれば、約2700億円に上る現地子会社の資産が雲散霧消する。社長在任当時から先頭に立って計画を進めてきた中西の責任問題が浮上することは避けられない。

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 案件は、英中西部ウェールズ地方北部のアングルシー島で計画されている「ウィルファ・ニューウィッド(Wylfa Newydd、「Newydd」をウェールズ語の発音で「ネーウィズ」と表記することもある)原発」(以後、ウィルファ原発と略す)。もともと同地には出力49万キロワット級のマグノックス炉(黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉)2基を擁する旧ウィルファ原発があり、2012年に2号機、2015年に1号機がそれぞれ運転を終了し、現在は廃炉作業中だ。ウィルファ原発は、その旧原発のリプレース(置き換え)案件として浮上した。

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