異色のワンカットで「被害者」の視点からテロを描く

『ウトヤ島、7月22日』監督インタビュー

執筆者:フォーサイト編集部2019年3月9日
主人公カヤとともに銃撃テロを体験することになる  (C) 2018 Paradox

 

 2011年7月22日午後3時過ぎ。ノルウェーの首都オスロの中心部にある政府庁舎が突然爆破され、8人が死亡するという事件が発生した。

 この日、オスロの北西約40キロに位置するウトヤ島では、毎年の恒例行事であるノルウェー労働党青年部のサマーキャンプが、10代の青年約700人を集めて開かれていた。

 午後5時過ぎ、この島に響いた1発の銃声が惨劇の始まりとなった。銃の乱射で69人もの若者が死亡。オスロとウトヤ島の事件は、同一犯による連続テロであり、ノルウェーでの戦後最大の惨事となった。

 2つの事件は、極右思想を抱くたった1人の男――アンネシュ・ブレイビク(当時32歳)によって起こされたものだった。ブレイビクは積極的な移民受け入れを進める政府の方針に反発し、用意周到な計画を実行に移したのである。ブレイビクはウトヤ島で警察に投降して逮捕。裁判所は禁錮最低10年最長21年の判決を言い渡し、現在も収監中である。

 この連続テロのうち、ウトヤ島銃乱射事件を描いた『ウトヤ島、7月22日』が3月8日から、ヒューマントラスト有楽町ほか全国でロードショー公開された(配給・東京テアトル)。

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